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ファミリークローゼット計画のコツ!設置手順を間違えないで!


◆人気のファミリークローゼット

ファミリークローゼットというものを計画する人が、ここ数年で急増しているそうです。

 

確かに、私のもとにも「ファミリークローゼット」が計画された間取りについて相談に来られる方が増えました。

 

まず、「ファミリークローゼット」とはどういうものなのでしょうか。

 

おわかりの方もいるかと思いますが、その名の通り「家族共有の収納」です。

 

ウォークインまたはウォークスルーのタイプで、衣類の収納として使われることが多いように思います。

 

ただ、絶対にそうしなければいけないという決まりはありません。大きめの収納を作り「ファミリークローゼット」と名付ければ出来上がる簡単なものです。

 

しかし、せっかくファミリークローゼットを計画するのであれば、使い勝手のよいものにしたいでしょう。

 

今回は、ファミリークローゼットを計画する際のコツを解説します。

 

◆メリットは?

ファミリークローゼットの計画をする方が増えているとお話しましたが、そもそも何が良いのでしょうか。

 

まずは「家事をする側」の目線で考えてみましょう。

 

例えば、洗濯物を取り込んだ後、畳んで収納する際、ファミリークローゼットがあれば、家族全員分の衣類を簡単にしまうことができるのです。

 

各部屋、各収納に運ぶことと比べると、1カ所のみで済むのは、家事をする側にとってはすごく楽になります。

 

次に「住む側に」とってはどうでしょうか。

 

自分の部屋の他に、ファミリークローゼットという共有収納があるわけです。

 

例えば、衣類や鞄などはファミリークローゼットに収納するのであれば、帰宅後わざわざ自分の部屋に行かなくても済みます。

 

このファミリークローゼットが玄関からリビングの同線上にあれば尚更便利でしょう。

 

そして、そのうち「便利だ」と感じることすらなくなるほどに、生活に馴染んでいくでしょう。

 

このように、「家事をする人」・「生活をする人」、つまり家族全員にとって生活しやすくなると思うと、ファミリークローゼットを導入してすることは多くのメリットがあると言えます。

 

しかし、これはアットホームな家庭を目指すのであればの話であり、必ずしもどの家庭にとってもメリットとなるわけではありません。

 

どんな家庭を目指すのかを考えてみることも大切なことですね。

 

 

◆デメリットは?

何事にも、メリットがあればデメリットもあるものです。

 

では、ファミリークローゼットのデメリットは何でしょう。

 

それは「大きな面積を必要とする」ということです。

 

例えば、衣類だけとは言え、家族全員分のものを収納するわけですから、そこそこの収納力が必要です。

 

そして、衣類以外の趣味のものや仕事のものなどは、各々収納力できる方が便利なので、ファミリークローゼットとは別に各小部屋に収納が必要となってくるのです。

 

結果として、家全体における収納スペースが増えてしまうのです。

 

また、家族全員で使用することを考え、ウォークインやウォークスルーのタイプにすることが多いため、よりスペースが大きくなりがちです。

 

このファミリークローゼットが、以前解説した、ウォークインクローゼットの収納効率の話(ウォークインクローゼットという、効率的の悪い収納 参照)にも当てはまります。

 

要約すると、ウォークインクローゼットは通常のクローゼットと比べると、「収納するスペース」に加えて、「人が入るスペース」が必要です。そのため収納する面積が限られるというものでした。

 

つまり、ファミリークローゼットとして大きさを取る割に、収納効率が悪いということになってしまうのです。

 

 

 

◆プランニングの順番

上述したメリット・デメリットを踏まえて、ファミリークローゼットのプランニングのコツについて解説します。

 

まずはじめに、使うシーンを明確にすることです。

 

どうしてファミリークローゼットを設置しようと思ったのかを思い出してみてください。

 

例① 家族全員分の衣類を同じ場所に収納することで家事を楽にしたい

 

例② 帰宅して、わざわざ自分の部屋に行かなくても良いようにしたい

 

例③ 各部屋に収納を作るスペースがなかったので家族収納としてまとめたい

 

各ご家庭の希望があると思います。

 

なぜ設置したいのかを念頭に置いた上で、次にすることは、動線を考えて配置することです。

 

例①では、洗濯・物干しの家事動線上に配置するのが良いと言えます。ついでにキッチンもこの近くにあると、家事動線としてはより使い勝手が良いでしょう。

 

例②では、もちろん玄関からリビングの動線上に配置するのが理想的ということになります。

 

例③では、どこでもいいからと設置してしまいがちですが、リビングを中心に生活するのか、各小部屋からの動線の方が重要なのかを想定してみると、どこに設置すると良いのかが見えてくるでしょう。

 

場所が決まれば、おのずと「ウォークイン」・「ウォークスルー」どちらが良いのかが決まります。

 

そして最後に、収納するものを考えることです。

 

ファミリークローゼットというものは、家族全員が使うという性質上、どうしても散らかってしまう可能性の高い場所です。

 

広ければ広いほど無駄なスペースができて、「とりあえず置いておく」・「何となくしまっておく」ということが増えてしまいます。

 

何でもかんでもしまっておく場所になってしまっては、せっかくのファミリークローゼットが台無しです。

 

そういう意味でも、計画上は最低限で考えて置くべきでしょう。

 

また、家族全員のものを収納するとはいえ、全ての物ではないはずです。

 

家族みんなで快適に使うためにも、何をファミリークローゼット(共有)に収納し、何を各部屋(個別)に収納するのかを考えておくことも必要でしょう。

 

このように何を収納するかを考えると、自然とどのような棚が必要なのかが見えてくると思います。

 

可動棚をつけるのか、吊り下げ式のハンガーパイプをつけるのか、または現在使用している各自のタンスをそのまま持ち込むのか。

 

実際にファミリークローゼットを使用することを想像して、決めると良いでしょう。ネット上で収納事例を勉強することもひとつの手だと思います。

 

まだ子どもはいない、将来は親と同居の予定があるなど、どんなものを収納するかをしっかりと想定できない場合は、細かい棚は作らずに、仕切りだけを設けて広い空間のままにしておくのも選択肢のひとつです。

 

広い空間のままにしておけば、購入した家具や、その都度必要なラックなどを置くだけで、ファミリークローゼットとして十分に成り立つことでしょう。

 

◆ファミリークローゼットは後回し

ファミリークローゼットは、必ずしもなければならないものではありませんが、あれば便利というものです。

 

まずは、リビングや寝室、各小部屋などの絶対に必要な部屋をしっかりと確保しましょう。

 

その後、スペースが確保できそうであればファミリークローゼットを採用するが良いでしょう。

 

上述しましたが、ファミリークローゼットのスペースも最低限で設置をし、スペースが余ったのであれば少し足してみるという考え方で進めていくのが良いでしょう。

 

順番を守らないで最初に決め打ちしてしまうと、「リビングが十分な広さ確保できない」・「子ども部屋が足りない」など、結果として手詰まりの状態になる可能性が大いにあります。ご注意ください。

 

ご参考にしていただければ幸いです。