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北向きテラスは「洗濯物が乾かない」はウソです。


◇インナーテラスの魅力

読者様から、こんな質問をいただきました。

 

Q:『インナーテラスを設ける予定ですが、北側にしか取れそうにありません。
やはりジメジメしていて洗濯物干しには不向きでしょうか?』

 

 そして早速、こんな回答をさせていただきました。

 

A:そんなことはありませんよ。
一般常識になっている「北側=ジメジメ」という悪いイメージが不安にさせているのでしょうね。
これは、問題点を整理する必要があります。
「洗濯物が乾く」ことと「ジメジメする」ことは、基本的に関係ありません。

 

今回は、この回答の真意を掘り下げて解説していきたいと思います。

 

まず、そもそもインナーテラスってどんなもの?と、お思いの方もいるでしょう。

まずはインナーテラスについてお話します。

 

インナーテラスとは、家の中と外の中間、つまり「半屋外空間」にあるテラスのことをさします。屋根があって壁もあるが、その一部が屋外に開放されているという場所に設置されたテラスのことです。

 

法律的には、部屋としてカウントされるものです。

 

まるで屋外のテラスにいるような感覚になる、またリビングに併設されているけど雰囲気はまた違うものを味わえるという、どこか特別な空間。そして使い方は自由。天候に左右されず、開放感を得られる。

 

一つの部屋ですが、まさにのびのび落ち着ける空間なのです。外テラスのようなのに、屋内ですからプライバシーを確保しながら過ごすことができます。

 

外を眺めながらのんびりコーヒーを飲んだり、本を読んだり、グリーンや花を育てたり、色々な使い方ができますね!

 

解放感を得られる特徴として、明るさを確保することがポイントです。

そのため大きな開口部を設けているパターンがほとんどでしょう。限られた敷地面積の中にあえて設ける、非常に意味・意志を持って作られるものです。

 

でも活用することができれば、とっても有意義な時間を過ごすことができる、まさに「あなただけの空間」となるのです。

 

やはり南側に設けたいと考えますが、土地の状況から北側に作ることになっても、こと「洗濯物を干す」ということに関しては、それほど心配は要りません。

 

北側は寒い、暗いなど良くないイメージでまとめがちですが、北側というのは反射光が入るので、安定した明るさを保っています。決して悪いわけではないからです。

◇北側は洗濯物が乾かないってホント?

先程お話しした通り「北側=ジメジメ」という悪いイメージが世の中根付いていますね。しかし、洗濯物が乾かないというのは本当でしょうか?

 

「洗濯物が乾く」という理屈と、「ジメジメする」という理屈を、簡単に説明してみます。

 

◎『洗濯物が乾く』

室内であればまだしも、外部であれば「洗濯物が乾く」ということに関して、方角は関係がないということをお伝えします。

 

なぜなら「乾く」というのは、「気流」と「温度」が関係している現象であり、太陽光というのは直接関係がないからです。


なので「南だから乾きやすい」とか「北だから乾きずらい」ということは、基本的にありません。 窓を取り付けるのであれば、換気がしっかりできれば支障がないといえるのです。

 

要するに日当たりは悪くても、風通しが良い場所であれば、洗濯物を干すことも可能だということ。他の方角と違って直射日光は入らないので、服や家具などの色褪せを防げるという利点すらあります。

 

◎『ジメジメする』

外部でのジメジメ感は確かに存在します。壁に水滴が付いたりしていると、なんか嫌な感じがしますよね。


北側は太陽光からの「ふく射熱」と言われる熱線がなく、壁が太陽により温められることはありません。つまり、壁は気温以上に温まることはないということです。

 

夜間に、外壁は気温が低下することによって冷やされます。これはどの方角も同じです。朝になり、太陽が見えると、東面から順番に外壁面から温まってきます。それと同時に空気も温まり、地面を温めて湿気を含み始めます。


それでも北側の外壁は温まるのが遅いので、空気との間に「温度差」を生じてしまいます。結果として、湿気を含んだ空気が北側の冷たい壁に触れて結露する、という理屈。なので、ジメジメとしているのです。


ポイントはジメジメしているのは、「空気自体」ではなく「壁」だということ。


洗濯物を壁にくっつけることがなければ、この「乾き」に関しては、どの方角でも条件は同じだということです。

 

わかりましたか?

 

風の流れをうまく利用できるような、風通しの良い空間を作ることが大切です。洗濯物同士が密着するような狭い空間でしたら湿気がこもりやすいので注意が必要です。

 

そこの解決のためにも、開口部はどうするのかよく検討していきましょう。

◆面倒な洗濯も楽しく!

洗濯物を干す以外の利用もできる空間であれば、面倒な洗濯も楽しくできるかもしれませんよね。プライバシーも確保しやすいので、安心して干せます。

 

ただし、日光消毒をしたい方には不向きです。UV光線は直射日光にしか存在しませんので、北側は殺菌効果は期待できません。そこが方角の影響がある点でしょうか。


とはいえ、UV光線は基本的にガラスを通過しませんので、部屋の中で陽を当てても殺菌の意味はありません。
インナーテラスはマンションなどのように部屋干ししかできない人に比べると、はるかに好条件であるということは間違いありません。

 

風をうまく利用する、壁の湿気に注意する。

 

ぜひご検討くださいね。