キッチンの計画は「使いやすさ」ではなく「使いづらさ」が重要!


◇憧れのキッチンとは?

キッチンは家事の中心です。ゆえに、計画には非常に気を遣いますよね。

 

使い勝手も大事だけど、テンションのあがる素敵なデザインも、機能性も。全て網羅したキッチンがほしい!!そう思う方がほとんどですよね。

 

なぜなら、毎日たくさんの時間を過ごす場所なのですから。家に一日中居れば、最低一日3回は食事の用意・片付けしますよね。ならばできるだけムダを省き、楽できるキッチンが理想となります。

 

ショールーム見学に行くと、おしゃれで多機能なキッチンが並んでいますよね。女性は特にキッチンづくりに力を注いでいる方が多いのではないでしょうか。

 

にもかかわらず、多くの失敗事例があります。あんなに考えて、出来たキッチンなのに使いずらい…なんでだろう。事実、失敗してしまう方けっこう多いのです。これはなぜでしょうか?

 

実はこれ、「使いやすさを追求する」ことと「使いずらさを減らす」ことをイコールに考えてしまったことから起こる失敗事例なのです。

 

一見同じに見えるこの2つの文章、同じではありません。

 

それ故に、本来なら真っ先に考えなければいけないことが、後回しにされているということなのです。

わかりずらいですよね。なので、解説してみたいと思います。

◆「使いやすさを追求する」とは?

「使いやすさを追求すること」は、多くの場合「今までよりも便利に使いたい」という気持ちから生まれる発想です。
この場合、デザインの良いものや、新しい機能のものを多く採用するという方向に進みがちだということになります。


具体的な例を挙げてみましょう。

「アイランドキッチンが流行っていて使いやすそうなので、新居でやってみたい」という気持ち。これは「デザイン性」と「新しさ」に引き寄せられたという例です。


結果何が起きたかといえば・・・。

◎食器棚まで遠い

◎コンセントが通路をまたいでしまう

◎見られたくない場面もオープンになってしまう など

今までなかった多くの悩みを生むこととなりました。

 

また、中でも意外な悩みの点として挙がったのが、まだこどもが小さいご家庭。

アイランドキッチンはその名の通り「島」のようなレイアウトです。つまり、左右どちらからも出入りできるので、こどもがキッチン周りで走り回ったり、かくれんぼしたりと様々な遊びに使いたくなる場所なのです。調理器具は、子供にとって決して安全なものばかりではありませんよね。

 

今までが不便だったわけではないのにも関わらず、「今までよりも便利にしたい」という発想が生んだ想定外の事態です。

 

高性能や多機能、最新型というのは、確かに魅力出来ではあります。ですが、せっかく新しいキッチンを使うなら・・・と考えてしまう気持ちをぐっとこらえて、本当にそこまで必要なのか?という風に、少し留まって考えてみることが必ず必要になります。

◆「使いずらさを減らす」

前述したように、本来であれば真っ先に取り組んでほしいことは、この「使いずらさを減らす」ということです。


要するに、今お住いの家にいて「不便に感じていること」を解決する方法を考えて、新しい間取りで採用するという発想です。


流行や新技術、新製品に目を奪われることなく、単純に「現状の問題点」を改善するというだけの作業です。


具体的に言うと・・・

◎キッチンでフードプロセッサーを使いたいのにコンセントが近くにない。

→新居では近くにコンセントを配置する。

 

 

◎食器カゴに場所を取られ、まな板を置いたり、調理するスペースが狭い。

→今より奥行きのあるキッチンにしたり、洗った食器を乾かせるスペースを流し台の横、もしくは上に設ける。

 

◎洗い物をする時間と洗濯をする時間がいつも重なる。

→キッチンと洗濯室、物干しを近くにレイアウトする。

 

ほんの一例ですが、これは少なからず「今よりも良いもの」になりますよね?ということは、新居に移った時には、必ず「プラス要素」でしかありません。

どこに小さいストレスを感じているのか。どこが不便で家事効率が下がっているのか、という部分を洗い出してみてください。そうすることで焦点が絞られ、高性能でなくても、必ず今より良いキッチン作りができるのです。

◇まとめ

お判りいただけたでしょうか。

 

「使いやすさを追求する」

「使いずらさを減らす」

 

この二つの考えは、似て非なるもの。全く違うゴールになるのです。


「使いやすいものを追求する」という発想は、必ずリスクを伴います。なぜなら、すべてが見えていることではなく、多少なり冒険する必要があるからです。

 

家のどの部分にも言えることかもしれませんが、キッチンという場所は滞在時間が長く、かつ簡単に変更できるものではないため、失敗したかどうかが露骨にあらわれてしまいます。

 

その反面、「使いずらさを減らす」という発想は必ず、現在よりも良い方向に向かいます。

 

 家づくりは、今のお住まいを見直すことから始めるのが基本。プラスの部分はもちろん、特にマイナスな部分もしっかりと観察し、考え、その上で情報収集をすることが大切です。


良い家とは、不満の少ない家のこと。
まずは今の生活での問題点の洗い出しからはじめて、その打開策を模索し、採用していきましょう。

そこから始めれば、全てプラスです。ステキなキッチンに、ステキな新居になることを祈っています。