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「図面寸法」=「実際の寸法」ではない!455の収納、実際いくつまで使えるの?


▼図面に描かれた寸法の意味▲

 

 「こちらがご検討していただいている〇〇様邸の間取りの図面になります。」

 

たくさん悩んだり、頭の中で描いていたものが図面として形になって表れてきます。まさにドキドキ・ワクワクのご対面ですね。

 

家づくりの初めの頃はまだ決まっていないことも多いため、たくさんの情報は記載されていないかもしれません。でも、図面には寸法は必ず入っています。

 

ただ、表示は『mm単位』で記載されています。この時点でお客様の目線としては分かりづらい、イメージしづらいもの。

 

そもそも図面を書くことの意味としては『間取りを考える設計士』と『建物を作る建設屋』が実際に家を作るために「共通認識」として必要なもの。施主の意思というのは、確認をするためのものでしかありません。

 

根本は家づくりに携わる担当者や業者のためのものであるため、建築専門外のお客様目線には作っていません。なので、分からない部分がたくさんあっても当然のことなのです。

 

寸法以外ももちろん同じ。間取りの概略を大きく検討しているときには特に気になりませんが、「収納」や「家具」の計画になると、その寸法に惑わされて混乱してしまうケースがたくさんあります。

 

果たしてその表示されている寸法は有効なものなのでしょうか?この寸法信じ切って家具の検討を始めている方、ちょっとお待ちください!

 

決して施主をだまそうとして描いているわけではないのですが・・・

 

「図面の寸法」≠「実際の有効寸法」ということをまず理解してください。

 

これをしっかりと理解してからでも、家具などの購入検討は遅くはないと思います。

 

図面に描かれているその数字が、実際に使ってもいい数字という風に考えてしまい、結果「家具が入らない」なんていうこともしばしばある事例なのです。

 

実際にしまいたい物や、購入する家具を考えると、「じゃあ実際はいくつなの!?」とイライラしていしまう人も多いかもしれません。

 

だって部屋のイメージができていたら、似合った家具をワンクリックで検索、ポチッと購入したくなっちゃいますから。

 

家づくりは時間はあるようでないもの。返品したり、振出しに戻ってしまうのは嫌ですよね。そうならないためにも実際の「寸法(内法寸法)」の考え方は知っておきましょう。

 

前置きが長くなってしまいましたが、今回は設計図から「実際の寸法」を導き出す方法を解説していきます。

 

▼簡単!有効寸法の考え方▲

内側の有効寸法を理解するのは、実際はそんなに難しいことはありません。「壁の中身がどうなっているのかを考えれば」すぐに答えは出てきます。

 

ただし、今回は「在来工法」のケースを例にとって解説していきますので、ご了承ください。壁を造るには、まず木材を使ってそのベースを造っていかなければいけません。

 

図面に描かれている寸法は柱の中心から次の柱の中心までの距離を表したものです。柱はそれなりに太さがありますから、その分壁が厚くなるということはお分かりいただけるでしょうか。

 

一般的な壁に使われている木材は、柱の大きさに合わせて105mm(10.5cm)の「間柱」という壁を支えるものと、「胴縁」といわれる石膏ボードを止めつけるための木材が設置されます。

 

そこに、10mm(1cm)ほどの石膏ボードを張り付けます。

 

なので一般の壁の厚みというのは、10+105+10=125mm(12.5cm)ということになります。

 

設計によっては石膏ボードの厚みが13mm(1.3cm)になってみたり、10mmを2枚重ねて貼ってみたりということもあります。使用は設計によって違いますので、ここは確認する必要があります。

 

また、足元に壁の保護のために取り付けられる「巾木」というものが仮に木製であった場合、その分の厚みが10mm(1cm)以下ほどで設置されるため、足元だけは厚みが増すこともありますので注意が必要です。

 

ここまでの説明で分かったと思いますが、壁の厚みというのは、厳密に設計図を見ないと意外とバラバラなのです。

 

工法や仕様によっても壁の厚さは変わります。木造住宅であるのか、鉄筋コンクリート造のマンションなのか、マンションなら内壁の内部は軽量鉄骨なのか、とかでも全く違います。

 

とはいえ間取り図を見たときに、大体の大きさがわからないといけませんので、僕がいつもやっている考え方をお伝えします。

 

それは【図面寸法-150mm(15cm)】です。

 

多少の違いはありますが、少し大きめに引いておけば、後になって入らないということになりずらいからです。なんやかんや説明しましたが、この寸法さえ覚えておけばスムーズに進めていけます。

 

例えば奥行き寸法が「455mm」と記載されてい収納があったとすると、実際には「455-150」となり、【305mmしか使えない】ということになります。約30cmしか使えないんだと考えれば、納めたい収納ケースも選びやすくなります。

 

幅が1820と記載されていれば、内壁間1670mm(167cm)が使える寸法だということになりますね。

 

ただし注意してほしいことは、この数字はあくまで『目安』ということです。『ぴったりの家具を購入』したりする場合には、必ず設計図面をしっかりと確認して下さい。

 

担当者や設計士さんに「実際の有効寸法を知りたいんですが」とお伝えすれば教えてくれるはずですので、確認してみるのがベストな選択ではあります。

 

そして、建物というのは施工によってさらに多少の誤差が生じてしまいますので、本来としては出来上がったものを実測するのが間違いはありません。

 

もしも、購入したものの納期が長くかかるような家具で、できる前に買わなければいけない場合はどうしたらいいのでしょうか。

 

その場合は、設計担当に寸法を聞くのも正解ですが、逆にその家具の『明確な寸法を設計担当に伝える』ということが重要です。

 

そうすれば、その分の寸法に合わせて施工をしてくれますので、安心できると思います。

 

▼特に注意したい部屋とは▲

広めの部屋は「なんとかなる」という言葉で片付けられることもあるかもしれませんが、狭い部屋というのはなかなそうはいきません。

 

ここで、特に注意したい部屋はどこか見ていきましょう!

 

◉クローゼット(ウォークインも含めて)

衣装ケースや段ボール、箱物を積み上げたりします。規格サイズのものが大半かと思いますが、ちょっとの寸法違いで収納できず、新しい衣装ケースに移し替えるなんてこともあり得ますので、再利用する方は箱物の寸法や物量を見ておくべきと考えます。

 

◉キッチン

冷蔵庫やカウンターなど大型のものの設置がほとんどです。作り付けのものも多いかと思いますが、冷蔵庫なんかは壁からの離隔距離も考慮しなければなりません。

 

大型タイプで出っ張りそうな場合は、ニッチ収納といわれる、壁にくぼみを作ってもらうこともできます。埋め込みのようなイメージです。隣接する部屋と上手く無駄なく使えるような工夫も必要とはなってきます。

 

◉PS(パイプシャフト)などの出っ張り

配管を集約したスペースです。意外とスペース取ってるときもありますので、こちらの表示ががある方は着目してみるのも重要です。

 

今回は図面寸法から、実際の目安寸法を割り出す方法をお伝えしました。図面は見づらかったり分からない部分があるものです。内寸まで描かれていたり、カラーであったりするといいですよね。

 

窓の配置などの検討のために周辺の道路や電柱、ご近所さんの窓位置まで描かれた図面があるととても親切に感じます。ただ、全部が全部親切な図面ではなく、その設計担当のアタリハズレは当然あります。

 

本来はお客様目線を第一に考えた対応を、担当者からしてもらいたいところです。

 

自分だけで悩むのではなく、わからない部分は担当者にどんどん確認していきましょう。そしてあなたの時間を有効に使えることができれば、他の検討できる時間が増えるかもしれません。

 

色んな情報を取り入れて、ぜひ間取りの計画に役立ててくださいね。