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提案図面のチェックポイントその5 ~収納面積比率~


◇収納?面積?比率?

設計担当から提案図をもらったはいいけど、何から見ていいのかわからない。
そんな方のために、見ていく順番を解説しております。
特に決まりはありませんので、あくまで「私なら」という言葉が頭に着くということをご理解ください。

 

最初に「方角」次に「家族動線」そして「広さのバランス」「来客動線」を見ると書きました。

読まれていない方は、ぜひそちらもご覧下さい。

 ☞その1~方角編~

 ☞その2~家族動線編~

 ☞その3~広さのバランス編~

 ☞その4~来客動線編~

 

さて今回は、第5弾「収納面積比率」を調べよう!ということで早速説明していきます。

難しそうな漢字が書いてありますが、そんなことはありません。
全部の床面積の中で、収納がどのくらいの面積を占めているのかという比率のことです。

全体:収納の割合を意味します。

計算式を載せますが、けっこう単純な式なのでスマホの電卓機能などで

ササッと計算できちゃいます。

 

(収納の合計)÷(総床面積)×100=比率(%) です。

例えば、35坪のお家で計算してみましょう。

ちなみに1坪=3.3㎡=畳2枚=1.82m×1.82m。

35坪=115.5㎡ 畳70枚ですが想像しづらいので割愛します。

収納スペースの合計が仮に5坪(16.5㎡)だったとします。

16.5÷115.5×100=14.285…

この家の収納は全体床面積の約14%ということがわかります。

 

一つプラスして考えてほしいのは、意外と細かい収納はあちこちにあるものです。

デットスペースを使ったミニ収納や、吊戸棚など現代の住宅は無駄なスペースをなるべく有効的に

キチンと考えられています。

14%に小さい収納をプラスすると、15%、17%となるでしょう。

 

ではこの比率ですが、このままでは足りているのかわかりませんよね。

 

次に収納の黄金比率を知っていきましょう。

◇一般的なのは10%~20%

戸建て住宅の収納は全体の10%~20%が一般的と言われています。

その中でも黄金比率はズバリ13%です。

提案図を見たとき、計算結果がこの範囲に入っていれば、一先ずスルーします。
これから外れた場合、何か意図があるのかな?と考え始めます。

疑問に思ったら、意図を聞いてみましょう。

そして収納する想定を洗い出す作業に入る、という流れです。

 

先ほどの例からいくと、14%なのでかなり黄金寄りということになります。

やったー!と言いたいとこですが、果たしてそれでOKなのでしょうか?

 

収納とは、しまうものがあるべき場所にあること。

あるべきところに必要な大きさであること。

あるあるうるさいですが、要はよく使うものは取り出しやすいところに収納できていることが重要なんです。

その観点からも提案図をみる必要がありますね。

◇収納は造り付けだけじゃない

収納には2種類あり、「造り付けの収納」と「家具の収納」です。
作り付けの収納は、広ければいいというものではありませんが、狭くても使いづらいものになります。
大雑把な考え方としては以下。

◉ずっと収納が必要なものは、造り付け収納
◉成長とともに変わるのが、家具収納
ある程度は造っておいて、足りないものは買ってきてたす、のイメージですね。

 

作り付けの収納は、多くても少なくてもダメ。

「適度」が一番です。そして「適所」かどうか。

 

こどものおもちゃスペースに細かい棚がたくさんの収納を設けたけど、将来もその場所にその収納は

使うだろうか?

先を見据えた上で造り付け収納を考えるべきです。

例えば脱衣室のタオル・洗剤の収納はこの先ずっと変わらず収納するでしょう。

こどもはおもちゃや持ち物が変わりますので、注意したいポイントです。

家族の成長や変化に柔軟に対応できるように、うまく家具収納も組み合わせてみましょう。

 

収納が多いのが良いというものではありません。

考え方はそれぞれではありますが、収納が住む空間を圧迫するようでは良くありません。

メインは居心地の良い住空間です。

 

最後に…

収納面積比率を知る。
こういう、一般的な数字は意外と大切にすべき先人の知恵だと思います。

1~5段、簡単に説明しましたがご理解いただけましたか?

 

時間の無い方でも簡単にできますので、逆に少しゆっくり提案図面を見る機会として、

ぜひやってみてください。