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手すりの設置場所。実例からわかる意外な場所とは


◇まず手すりの必要性を理解する

将来を見据えて、家に手すりを計画している方も多いはず。 ですが、まだ手すりが必要のない世代にとっては、想像でつけるしかないのが現実。実際には高齢になってみないと、なかな実感がわかないものですよね。

 

高齢になってくると筋肉が衰え、体のバランスも崩れます。結果反応も遅くなりますから、転倒しやすくなり、やはり危険度は増します。

 

高齢者に限らず、妊娠中の方や病気やケガを負った方も、何かしら体に気を使い生活していく上で、補助があった方が行動がスムーズになることもあります。

 

「手すり」とは、そうした方を中心にして、自立して活動できるための必須アイテムといえるわけです。

 

手摺りは、いざ壁に設置するといっても、そのスペースが必要となります。ですから狭い空間のトイレなどは、設置場所によって邪魔になることもありえます。なので若い世代の住宅に取り付けるときは、今後の生活を踏まえた上で、注意が必要ですね。

 

マニュアル通りに設置したから大丈夫!なんてことは、意外な落とし穴にはまってしまうかもしれません。しかも「結果役に立たない・・・」なんてことになりかねません。

 

では、本当に手すりをつけた方がいい場所はどこなのでしょうか。


 正直にいうと、将来どんな体になるのかはわかりませんので、答えることはできません。 ですが高齢者の方から、多く要望を受ける場所は知っています。

 

今回はその中でも、「意外に思いそうなてすりの設置場所」を紹介して行きたいと思います。なので、トイレや玄関など、当たり前の場所は省略します。

◇意外な設置場所5選

過去の実際に依頼を受けた事例の中で、意外ではありながら「確かに!」と感じた手すりの設置場所を5箇所挙げていきましょう。

 

❶浴室の入り口付近


脱衣室で服を脱いでから浴室に入るドアを開ける際に使用する、縦型の手すりです。


前に他の人が使っている場合、床面が濡れているため、滑りやすくなっているのです。ドアを開けるという動作は、必ず片手を扉側に取られてしまうために不安定な体制になります。


介護をする側にとってみても、「ひとまず掴まっていてほしい」という場所が、浴室の入り口なのです。そういう意味でも、意義のある手すりになると思います。

 

❷部屋の入り口

自分の部屋やトイレなどのドアは、高齢者にとっては開けずらいもの。浴室手すりと同じような考え方です。 開けるために片手が使われるため、もう片方で体を支えなければいけません。ドアの取っ手がある側に、縦に手すりをつけると良いそうです。

 

これは、多くの介護施設で使われている手すりであり、廊下の「伝い歩きようの手すり」とセットで設置する例も多くあります。

 

❸トイレの中

よく見る「L型」のものではありません。 トイレに座った際の前方に、自立しているポールのような手すりです。

 

立ち座りという動作は、思った以上に足腰の筋肉を使用します。そこに衰えが来ると、転倒してしまう危険性が高くなるというのはお分かりですね。


ポールダンスに使用するような棒が、最も使いやすいと言われることが多く、古くは天井から縄をぶら下げるという歴史があったりします。


ただし、当初からあると邪魔ですので、いつでも設置することができるような、下準備だけをしておくのもいいかもしれません。

 

❹窓際

窓際に立って外を眺めるのに、横向きの手すりがあると嬉しいようです。

 

足腰が弱くなったり、病気や怪我をしている方にとって見ると、外に自由に出入りできるわけではありません。なので、時間や季節を唯一感じられる場所は、「窓」ということになるのです。

 

ただし横手すりの設置高さでちょうど良いものは、車イスや座った状態だとちょうど目線の高さに来るようで、その兼ね合いで高さを考えるのも良いかもしれませんね。 

 

❺浴室の中の壁

浴室の洗い場には手すりが付いていたりします。これは大抵の場合「立ち座り用」と「浴槽のまたぎ用」ですが、よく考えてください。

 

水で濡れたその床面で、そもそもそこに至るための伝い歩きがしたいのです。

横向きの手すりを壁に這わせるだけで、浴室がとても快適になるそうです。

 

 

どうでしょうか。意外な場所はありましたか?

 

◇手すりは自由。工夫もさまざま。

他にも設置場所はありますが、利用者目線で載せていますので、実用的な参考にはなるのではないでしょうか。

 

階段の手摺りだけは、法律上取り付ける義務があります。ただ形状も種類も様々なんです。

 

例えば、波型手摺りというものもあったりします。その名の通り波型に曲がっています。これは上るとき、下りるときの力の使い方が違っていて、上りは杖のように使え、下りは取っ手のように使用できるというもの。

 

これはほんの一例ですが、昔から存在するものなので、「こんな手すりないかなぁ」と思って探すと、大抵存在します。

 

手摺りというものは、基本的にはおしゃれで選ぶべきものではありません。まずは機能性・安全性を考えて選択する。その中で、よりデザイン性の良いものを選定するという順番が重要なのです。

 

そしてもう一つポイント。

高齢になると視力も衰え、見えづらくなります。設置する壁と手摺りは、はっきりと色を変えてあげるのが良い工夫です。

 

後々の設置も可能な手摺りですが、余裕があるのであれば将来を見据えて、ぜひ計画の参考にして見てくださいね。