◆横一線バルコニーが増えている
『外観を考えて、「南側バルコニー」を建物の端から端まで横一線に配置したので、「寝室からも、子供部屋からも」バルコニーに出られるようになりました^^』
相談に来られる方の中で、こういうプランが結構多いことに気づきます。
ですが今回は、結論から言っておきます。
【この計画は、全くお勧めできません】
以前も同じような内容を投稿したので、重なる部分はあるかもしれません。ただ最近の相談以来の中で、結構多いように感じましたので、今度はその対策を含めて投稿させていただきます。
◆子供にも親にも得がない!
まず、なぜお勧めできないのかという話からしていきましょう。
確かに、外観を見たときには、途中で途切れるよりも整って見えるかもしれません。気持ちはわかります。
日本人は特に「規則正しい」というシンメトリーな模様を好む傾向があります。
左右対称、上下対象の幾何学形状は、見た目にすっきりとしていて美しく見えるもの。「どうせなら端まで貫いてしまえ!」という風に考えてしまうのは、日本人であれば当然のことと思います。
ですがその問題天は「外観」ではありません。「プライバシー」にあります。
少しそこを深堀りしていきましょう。
◆子供が小さい頃の話
子供が小さいうちは大きな問題はないと思います。寝室と行き来できるのであれば、むしろお互いに安心感もありますよね。
洗濯ものを干しながら、子供が遊んでいる姿を確認できる。一石二鳥で、家事動線と子供の生活動線を重ね合わせることのできる、悪くないアイデアに思えます。
ですが、子供が思春期を迎えたころから少しづつ話が変わってきます。
◆子供が思春期を迎えた頃の話
思春期は、子供の自己形成に必要な時期です。
成長とともに「考える」「悩む」という力がついてきて、そのぶつけようのないモヤモヤした感情の矛先を自分に向けている状態であり、他者に刺激されたくない重要な時期なのです。
そんな多感な時期の子供にとってみると、一人でいたい時間があっても、部屋から洗濯物を干している母親を見たときには、こう感じてしまうのです。
【干渉されている】
母親としても、視界に片付けられていない、汚い子供部屋を見るとついつい言ってしまう言葉がありますよね。
「少しは部屋を片付けなさい!」
これはつまり、「勝手にみてほしくないプライバシー」を「勝手にのぞいた」という事実であり、脳みそが急成長を遂げている子供も、もちろん気づいてしまいます。事実そうな訳で。
そしてそれに対して反発し、憤りを感じてしまって当然。親子の溝は深くなっていく。これは当たり前の結末なのです。
◆夫婦間だって同じはず
もちろん、逆だってありますよね?子供に見られたくないシーンは、親にだってあるわけです。
夫婦のコミュニケーションの阻害は、こうしたことから起こることもあります。これが、昨今問題になりつつある「セックスレス」に拍車をかけてしまう原因にもなってしまうわけです。
◆外観もプライバシーも解決する策は?
まずこの衝突を防止するために思いつくことは、「だれでも通れるバルコニー」は子供部屋に設置しない方が良いということです。
ここは判りますよね?もう見えている近未来の話を「外観が」という見栄えだけの話で押し付けるということは、子供にとってみると関係のない話なのです。
でも、外観イメージを壊したくないし・・・。
もしも火事になった時の避難としても良いと思うし・・・。
小さい子供にはわからないかもしれませんが、家族を守る足り場の親として、実際にその感覚はもっともだと思います。
なので、外観を壊すことなく解決するアイデアを一つ提案しておきます。
◆アイデアを一つ提案
そのアイデアとは何か。
【壊すことができる壁を造る】ということです。
バルコニー隔て板といって、その壁はバルコニーの手摺高さよりも低いため、外からは見えず外観を壊しません。
そして基本的には隔て板なので、超えられません。・・・そりゃ頑張れば超えられますが。普通に危ないです。
例えばマンションなんかのような、たくさんの住戸が連続しているような建物にも設置されているものであり、そもそも既製品が売っているので、それを設置してもらうというだけの話です。
バルコニーをいちいち区切るよりもはるかに安価であり、プライバシーの確保に役立ちます。そして緊急時の避難の際には、蹴飛ばせば壊れるような構造になっているため、安全といえます。
こういう措置をとるだけで、両者両得の状態をつくれるのであれば、それに越したことはありませんよね。
『バルコニー隔て板』と検索してみるとたくさん出てきますので、参考にしてみてください。
そして、余計なところでストレスを感じないような、よい間取りになることをお祈り申しあげます。