家の窓に「トリプルサッシ」を採用してみた結果


◇「複層ガラス」の一種。トリプルサッシ

「トリプルサッシ」。トリプルガラスとも言われます。1つの窓に対して、ガラス3枚が層になっているサッシのことです。ちなみに、2枚が層になっているものは「ペアガラス」といいます。

 

このように、層になっているガラスのことを総称して「複層ガラス」と呼びます。

 

ガラスとガラスの間に「ガス」を封入して作られており、ガスは空気より熱を伝えにくいことから、断熱性能が高いものとなっています。トリプルの場合はガラスが3枚あり、そのガスの層が2層あるため、より断熱性能が高いと言われております。

 

ただし断熱性も高いが、金額も高い。ペアからトリプルに変更をすると100万円以上ものオプション価格がとられることもあります。比較対象にもよりますが、一般的な窓より1.5倍以上の価格となります。

 

日本も普及してきていますが、まだまだ新しい商品ですから時間とともに価格も落ち、普及率もこれからどんどん伸びてくるでしょう。しかしオプション価格100万円と言われると、ちょっと手が出しづらいですよね。

 

気になるのは、その100万円はちゃんと元を取るほどの性能なのかというところですよね。
今回はその費用対効果を解説します。

◇トリプルサッシの使用感、印象

以前の投稿でも書きましたが、断熱材とは「動かない空気」のことです。

断熱材の正体は何か。答えは「ただの空気」!?参照】


つまり、ガラスの間にこの「動かない空気」の層を作ることで、断熱性能を上げてしまおうという作戦です。つまり、その「動かない空気」の層が多いほど、冷気や熱気を家の中まで通さなくなります。


「外気の温度を入れない」という効果は抜群で、トリプル(3枚)ガラスは一般のペア(2枚)ガラスに比べて、1.5倍の性能を誇ります。・・・ピンとこないかもしれませんが、かなり凄いことです。


参考になるかはわかりませんが、実際に冬の北海道で使用した印象としては、「想像以上に冷気を感じない」という印象です。外気温0℃でも内部の窓・サッシ部分が20℃以上であったことに驚きました。

 

エアコンを停止してからを考えると、冬は他の窓と比べ5℃も暖かく過ごせる、夏は2℃温度上昇を抑えると、とメーカーが歌っていたりします。快適さだけではなく「健康面」も考えると、間違いなく良いものでしょう。

 

温度差を抑制してくれることで、ヒートショックの予防にもなります。結露もしづらい作りなのでカビの発生も抑えられます。色々メリットがあるトリプルサッシ、確かに魅力的ですね。

◇熱量計算でのコスパは?

では今度は、実際の費用的にはどうなのかというものを検証して見ましょう。

 

外気の寒さが内部に侵入するのを防ぐ性能を「熱貫流抵抗」と呼び、その数字を元にどの程度の暖房エネルギーが必要になるのかというものを、ザックリと計算して比較してみました。


計算結果としては、エアコンで暖房した場合は1シーズンでおよそ13,000円程の節減効果が見込めました。
・・・要するに、100万円を追加したとすると、元を取るのに76年程度もかかる計算となります。建物がもちませんね。

 

結論として、現状のコストパフォーマンスとしては、まだまだ見込めるようなものではないということです。建物の寿命が30年だと仮定して逆算すると、39万円のオプション価格が妥当ということになります。

 

悩ましい部分ではありますが、全面的にトリプルサッシを採用せず、リビングのみというような配置で考えるのも一つの手でしょう。最も必要な箇所をトリプルサッシにし、他は複層ガラスで厚みのあるものでも十分効果はあるといえます。

 

費用と快適さの関係をどこまで考えるかは人それぞれです。後悔しないためのも確かな情報を入手して考えるべきでしょう。

◇デメリットはあるの?

デメリットとしてあげるとすれば、「太陽の光を反射してしまう」ところですね。

 

ペアガラスに比べてガラスの枚数が多いため、それだけ暖かい太陽光を反射しやすくなってしまうのは事実です。そのため、熱も多少外へ逃がしてしまいます。

 

ただし、それを差し引いても有り余る断熱性能を持ち合わせているため、あまり気にしたものではないかもしれません。

◇結論としては

結論として、暖房費から考えるとそこまで費用対効果は薄いということになります。ですが、使用した印象は良いです。そして結露も起こりづらいのは確かです。

冬は特に乾燥するのに対し、窓は結露が起こるし、いつも拭き取るのは大変ですよね。そこの悩みは解消できそうです。

 

北海道のような極寒の北国では、安価な灯油式ストーブを使用しているため、暖房としてはエアコンよりも「ストーブ」をフル稼働させていますよね。なので、よりいっそう費用対効果は薄いと感じます。

個人的な見解として結論付けるならば以下のようになります。

◆東北よりも北の、寒い地域は必要なし
◆それより南の地方では使う価値がある

 

本当に断熱性能が必要な地域でのコストパフォーマンスが追いついていないという現状は、少し嘆かわしいように思います。技術の進歩により、早く価格が落ち着いてくることを祈るとしましょう。

【余談ですが】
現在では「5層断熱窓」というものも出ているそうです。色んなこと考える人がいるんですね^ ^

 

ぜひご参考にしてみてください。